現4人体制での本格再始動からまもなく4年になろうとしているNEWS。デビュー時には9人という大所帯、関東と関西のJr.の混成チーム、また錦戸亮などの他グループとの兼務など、いま思えば他のジャニーズグループにはあまりない実験的な要素の多いグループだったことがわかる。V6、嵐に次いで『バレーボールワールドカップ』のイメージソングになったデビュー曲『NEWSニッポン』(2003年リリース)もセブン・イレブン限定販売という当時初の試みだった。その後紆余曲折もあって現在の4人による活動となったが、グループとしてすっかり安定期に入った印象だ。ある意味では、ここからがNEWSにとっての本番と言ってもいいだろう。

 4人体制となってから現在までのあいだ、個々のメンバーはそれぞれ活躍の場を拡大してきた。

 最年長の小山慶一郎は、夕方のニュースの顔としてすっかりおなじみになった。当初は週一回のみの出演だった『news every.』(日本テレビ系)では、2014年から月~木曜の第一部メインキャスターを務めるようになった。また昨年4月から『キャラオケ18番』(日本テレビ系)、同じく10月からはその後番組の『チカラウタ』で音楽バラエティ番組のMCを担当し、番組の仕切り役としての幅を広げている。

 加藤シゲアキは、小説家としても知られるようになった。2012年に現役ジャニーズアイドルとして初となる長編小説『ピンクとグレー』以来、昨年の短編小説集『傘を持たない蟻たちは』まで、すでに4冊を刊行している。そこから『ピンクとグレー』が映画化、『傘を持たない蟻たちは』はドラマ化されるなど、着々と成果を挙げている。

 増田貴久は、ドラマやバラエティの仕事もこなす一方で、その歌唱力にスポットライトが当たっている。歌やダンスのパフォーマンス面ではもともと定評があったが、それを生かした単独の仕事も増えてきた。『水曜歌謡祭』(フジテレビ系)で、大御所から同年代までそうそうたる歌手たちに交じって得意の歌声を毎回のように披露していたことは、まだ記憶に新しい。

 その増田とのデュオ「テゴマス」(スウェーデンでまずデビューしたというのも、NEWSらしいユニークさだ)としても活動している手越祐也は、スポーツやバラエティの分野での活躍が顕著だ。特技のサッカーを生かしたワールドカップ関連番組や『手越祐也&城彰二のサッカーアース』などのMC、そして『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)にレギュラー出演し、時にはウッチャンらとロケに出て奮闘する姿は印象的だ。

 このように、それぞれの長所や特技を生かした個人活動が目立つNEWSだが、現在レギュラー冠番組は放送されていない。そのあたり、気を揉んでいるファンもいるだろう。ただ、その基盤になりそうなものはすでにある。

「コヤシゲ」と呼ばれる小山と加藤の年長2人組は、共に大学を卒業し、キャスターと小説家ということもあって知的な部分を要求される仕事で組むことも増えている。『未来シアター』(日本テレビ系)などもそうだったが、より知性派の部分を前面に出した出演番組も増えてきた。

 例えば、今年1月に第3弾が放送された『NEWSな2人』(TBSテレビ系)。第1弾と第2弾では、小山と加藤がワイドショーで話題になったブームや出来事のいまを探るために自らレポーターになり取材した。メイドブームから薬物依存、LGBTといったテーマまで、硬軟両方に対応できる2人の強みが生かされた内容だったと言えるだろう。

 第3弾は、企画がリニューアルされた。「デモバラエティ」というコンセプトで、若い世代が世の中のルールや習慣などで不満を抱いていることをスタジオで訴え、それに対する解決策を小山と加藤の二人がパネラーとともに考えていくというものだ。

 企画としては、かつて日本に住む外国人が日本社会のおかしいと考える点を議論して人気だった同じTBSテレビの『ここがヘンだよ日本人』の若者版を思わせる。今回、選挙権18歳引き下げの是非など難しいテーマもあったが、堅苦しくなりすぎず盛り上げながら、話の着地点を見つけ出していく二人の手際とコンビネーションの良さが目についた。

 やはり今年1月に第2弾が放送になった『変ラボ』(日本テレビ系)も、同じく2人の知的キャラクターを踏まえた企画である。小山と加藤は「研究員」という設定で、「何の得にもならぬ、無駄な知識」を得るため実験に挑む。昨年7月に放送された第1弾では、小山が「オナラを集めて大爆発は起こせるのか?」、加藤は「流氷の天使 クリオネは美味しいのか?」という文字通り「何の得にもならぬ」実験テーマに取り組んだ。

 このあたりは、松村邦洋が「地球温暖化を阻止するためにメタンガスを含む牛のゲップを吸い取る」企画などがいまも記憶に残る『進め!電波少年』的な日本テレビの伝統を感じさせる。そこに実験と言う知的風味が加わったかたちである。

 注目すべきは、この第2弾では増田と手越も加わり、NEWS4人による番組になったことだ。小山と加藤は、それぞれ「巨大なハンペンの上に人は乗れるのか!?」「カラスは美味しいのか?」と前回のテイストを引き継いだ研究テーマに取り組んだ。一方、手越と増田が取り組んだのは、テイストは同じだがよりそれぞれのアイドル性を引き出すようなテーマだったと言える。

 手越は、「真の“神経衰弱”とは何なのか?」というテーマ。とにかく神経が図太いという評判の手越が、トランプの神経衰弱程度ではまったく神経が衰弱しないというので、番組考案のさまざまな難ゲームに挑戦した。その結果がどうかという興味もあったが、「量産型女子大生神経衰弱」(顔の似た女子大生の写真で神経衰弱)を実に楽しげにクリアしてしまうといういかにも「らしい」場面が見どころだった。

 また増田は、「壁ドンを凌ぐ胸キュン行為とは!?」というテーマ。恋愛に詳しい専門家が考案した「壁ドン」に代わる胸キュンな行為(「指シー(UBC)」「マフクイ」「ヅカ抱き」)を実際に女性相手に増田が実践してみるというものだ。彼の魅力でもある笑顔と真剣な表情とのギャップなど、まさにアイドルの王道パターンが盛り上がりを生んでいた。

 この番組の企画・演出である前川瞳美は、『世界の果てまでイッテQ』や『嵐にしやがれ』のスタッフにも加わっている。監修には、両番組の企画・演出である古立善之の名も見える。以前このコラムでもふれたように、古立は『嵐にしやがれ』のコンセプトとして、「意味のなさそうなことを一生懸命やってもらう」と語っていた。この『変ラボ』でも、意味のなさそうな企画に真剣に取り組むなかに、自然にNEWS4人それぞれのキャラクターが浮かび上がる演出の上手さが感じられた。

 そうしたスタッフの手腕もあり、『変ラボ』の2人出演から4人出演への変更は、十分すぎるほどの成功だったと言えるだろう。この番組で見えた知性とアイドル性の融合は、他には得難いグループの個性になりうるはずだ。その意味で、新たなレギュラー冠番組開始の機は熟しつつあると思えた今回の『変ラボ』であった。
(この記事はエンタメ総合(リアルサウンド)から引用させて頂きました)


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