相葉雅紀(34)が主演を務めるフジテレビ「貴族探偵」(月曜後9・00)は24日、15分拡大で第2話を迎える。数々の「月9」作品で知られ、今作のメイン演出を手掛ける名匠・中江功監督(53)は「新しいヒーローを作りたい」と主人公のキャラクター作りに腐心。相葉に“愛のムチ”を入れたことを明かした。

 相葉&中江監督のタッグは同局「ようこそ、わが家へ」(2015年4月クール)に続き、2度目。看板枠「月9」初主演の相葉は臆病ながらも思いやりあふれる好青年・倉田健太に扮し、ストーカーの恐怖に立ち向かう姿を好演した。

 「月9」30周年作品としても注目される今回の役は己を「貴族」と名乗り、年齢も家族も住所も本名も不明という謎の青年。事件関係者の女性と会話を楽しみ、遊びに興じるなど、推理は召使いに任せて本人は何もしないという異色の探偵。等身大に近かった前回のキャラクターから、今回は「作り物の、ファンタジーの世界において、全く異なる人格を作らないといけない。前回より難しい」(中江監督)。第1話、貴族探偵の初登場シーン。新境地に挑む相葉に対し、中江監督は前もって2人だけで話をし「10通りくらい、自分なりに芝居を考えてきてくれ」とリクエスト。前回はなかった“厳しい要求”を敢えて出した。

 「声のトーン、話すスピード、セリフの言い回し。いろいろと工夫しないと、今回の役は簡単には演じられません。僕1人の考えには限界がありますから、相葉君も何パターンも考えて、僕も何通りも考える。お互いの意見が相乗する中じゃないと、新しいものは生まれません」

 リクエストの翌日、相葉が役作りに悩んでいると人づてに聞いた。「それは、いいことだと思いました。『これでいいのか』と悩み倒さないと、役なんか作れません。3カ月(1クール)探り続けて、やっと次の作品で何かできるようになるというぐらい。もちろん、これまでも相葉君も考えていたと思いますが、芝居は1000通りも1万通りも、言ってみれば無限にあるわけで。自分が考えつく以上のものを目指さないといけない、という話はしました。今回は松重(豊)さんや生瀬(勝久)さんたちの芝居を見て、刺激になっていると思います。せっかく相葉君と組むのは2回目なので、前回と同じじゃ、お互いにつまらない。相葉君も苦しんだ方がいい。そういう時期に来ていると思うんです」。レベルアップを促す中江監督の“愛のムチ”だった。

 その後、相葉の演技は「セリフのスピードを変えたり、抑揚をつけたり、アクションをつけたり、試行錯誤した結果、まずは、あまり表現に個性を出さないところから入ることを目指しました。周りにクセの強い人が多すぎるので(笑い)。相葉君もいろいろ考えていると感じました。まだ階段の1段目。これから少しずつ変化していくと思います」と期待している。

 2年前にも「自分のやるべきことも、自分の立場も分かっているのに、決してアピールしない。分かっているふうにしないところが、よくできていると思います。かなり、いい男」と相葉の謙虚さ、静かなる自信を絶賛した中江監督だが「スターなのに、あの“普通のお兄ちゃんぶり”は何なんでしょうね。嵐として活躍して(昨年はNHK)紅白(歌合戦)の司会も務めたのに、2年前と全く変わらないですね」と感心。「本当に人がいいし、やさしいし。まじめだし、気遣いもあるし。みんな、やりやすいと思います。目上の人に対して腰が低すぎるわけでもなく、主役だからと偉そうなところも全然ない。バランスの取り方が非常にうまいと思います」と評した。

 ただ「役者としては、ちょっとわがままで変人の方がいい場合もあるんです。役者としては(相葉に)もっとわがままになってほしいと思う時もあるんですが、普通さが彼の魅力。変人になってほしいような、なってほしくないような、微妙ですね(笑い)」と複雑な心境も。今回の撮影中、相葉の芝居はどう変化し、成長を遂げるのか。相葉と中江監督の二人三脚がニューヒーローを生み出す。